小児眼科
生まれたばかりの赤ちゃんは視力が弱く、生後3ヶ月~6ヶ月ごろに急激に成長していき、小学校に通う6歳頃には成人と同水準の視力になっています。子どもの眼の異常は早期発見・早期治療が大切になりますが、幼い時期は自身で症状を親御様に伝えることが困難です。
そのため、小学校に入り意思をはっきり伝えられるようになってから、眼の異常に気付くことが多く、治療が遅れてしまうことは少なくありません。早い時期に治療を行っておけば視機能の発達を妨げることがなかったですが、学童期を過ぎてからの治療では大幅な改善を期待できないケースもあります。
少しでも気になることがありましたらお気軽にご相談ください。
このような症状や行動に
心当たりはありませんか?
- 目を細めることがよくある
- 目をしかめることがよくある
- 目をこすることが増えた
- テレビや本を見るとき顔を近づけることがある
- 顔を傾けてものを見る癖がある
- ものを横目で見る癖がある
- 片目を覆うと見えづらそうにする
- 目やにがよく出るようになった
- 目の充血が確認できる
- 目がピクピク痙攣している
学校検診で視力低下や異常を指摘されたら
4月の新学期が始まった時期は定期検診が行われ、健診結果はA、B、C、Dの4段階で判定されます。
お子様が検査結果を持ち帰った際に結果がA判定以外だった場合は、眼科を早めに受診するようにしましょう。
通常の眼科の視力健診と異なるため、仮にB判定だった場合も眼科での測定では1.2以上と診断されるときもあったり、眼科で正確に調べると右目左目で視力に偏りがあったりという場合もあります。このような結果のずれが起こる理由としては、人が大勢いる場では集中力が散漫したり、前の生徒の答えを覚えてしまったりなどがあるためです。 眼科での正確な結果から、日常生活で不便がないように、視機能改善治療や眼鏡などの装用が必要となることもあります。そのため、ご家庭で問題ないと判断せず、眼科の検査を受けて現状をしっかり把握するようにしましょう。
眼科を受診する際には、学校で受診結果が書かれた用紙をもらえるので、検査前に受付からお渡しする指定の用紙を受け取り、記入するようにしてください。 また、眼鏡を普段かけているお子様については度が合っているかを確認するので、ご来院される際はお持ちくようお願いいたします。
学校で指摘されたこと以外にも何か気になることがありましたら、当院までお気軽にご相談ください。
子どもの近視
子どもの近視
通常、眼に入ってくる光は水晶体で屈折して、網膜上でピントが調整されますが、近視になると網膜の前方でピントが合う状態になります。
そのため近くのものは見えますが、遠くのものを見る際に見えづらさを覚えます。
近視の原因
近視の原因は大きく、遺伝要因と環境要因に分けられます。
親御様が近視の場合はお子様も近視になる可能性が高いと言われており、それ以外の場合は生活習慣などが大きく関与していると考えられています。
例えば暗い場所での勉強や読書などは眼を酷使する原因になりますが、最近ではスマートフォンやタブレットが普及して長時間使用するようになり、眼の疲れの原因になっています。そのため、以前に比べると環境要因によって近視になるお子様が増加している傾向があり、注意が必要です。
近視の検査
子どもは生まれたばかりは視力が未発達で、8歳頃までに成人と同程度まで成長します。視力検査では集中力が足りず、実際より視力が低く出る可能性があり、何度か視力検査を行うことで正しい視力を確認することが可能です。
治療方法
子どもの近視の治療にはマイオピン(低濃度アトロピン点眼)という点眼薬を使用します。そして、あくまでも進行予防という治療になるので、早期に開始する方が効果は出やすいと考えられています。マイオピンは副作用が少ないというメリットから近年では近視抑制薬として注目されるようになりました。ただし、自由診療となる点はご注意ください。
近視を予防する方法は「近くのものを長時間見ない」「眼の休憩時間をとる」ことを心掛けるようにしてください。暗い場所や長時間近い距離のものを見続けてしまうと眼に疲れがたまってしまうため、目安として30分~1時間ごとに休憩時間を設けるようにしましょう。また、屋外で遊ぶ時間を作ることなども有効で、できる限り遠くのものを見る機会を増やすことで眼が疲れにくくなります。
子どもの弱視
弱視は眼鏡やコンタクトレンズを装着したにも関わらず、視力が1.0未満の状態を言います。
診断は矯正視力を基準にするため、裸眼で視力が1.0未満の場合でも、眼鏡やコンタクトレンズを装着して1.0以上あれば弱視とは判定されません。
検査では視力検査のほかに、屈折検査や斜視検査などがあり、必要があれば目薬を使用した精密屈折検査を行うこともあります。
「屈折異常弱視」、「不同視弱視」、「斜視弱視」、「形態覚遮断弱視」の4つの種類に分けられ、原因と治療法もそれぞれ異なります。
屈折異常弱視は遠視や近視、乱視などが強く、両目の視力が発達していない状態で、治療は視力改善のために眼鏡を装着します。
不同視弱視は左右の眼の視力が偏っており、眼の成長の妨げになっている状態なので、眼鏡の装着と視力が弱い方の眼をアイパッチで隠して矯正していきます。
斜視弱視は左右どちらかの眼に斜視が見られ、視力の成長を妨げている状態になっているため、不同視弱視と同じく眼鏡の装着とアイパッチで矯正していきます。
形態覚遮断弱視は先天性異常が原因で片方または両目に光が届かない状態になっているもので、原因疾患の治療とともに眼鏡の装着や視力訓練を行います。
はやり目
はやり目とは別名「流行性角結膜炎」と言い、ウイルス性急性結膜炎の一種です。
眼は粘膜に覆われており、結膜は黒目部分である角膜の淵から瞼の裏側を覆う部分、結膜は白目表面の部分、瞼の裏側には眼瞼(がんけん)結膜と呼ばれる粘膜があります。
通常、涙腺で作られる涙が眼球表面を潤わせてウイルスの侵入を防いでいますが、一度ウイルスが侵入してしまうと様々な症状を引き起こします。
その一つにはやり目があり、短期間にウイルスが増殖し、充血や瞼の腫れ、流涙などの激しい症状を伴います。
ウイルスはプールなどでも侵入するため、プールから上がった後は水道水などで目を洗うようにしましょう。
有効な点眼薬は現在のところ開発されておらず、炎症を抑えるためのステロイド点眼薬や二次感染予防のために抗菌点眼薬を処方します。
また、ウイルスは疲れている時に繁殖しやすいので十分に睡眠をとるようにしてください。
色覚異常
色覚異常とは色の区別がつきにくい状態のことを指し、遺伝による先天的なものと疾患や加齢などによって後天的なものの2つに分けられます。
原因となる疾患には、緑内障や白内障、網膜や視神経疾患、大脳疾患などが挙げられます。
検査では色覚検査表というものを使用し、色の区別が正常に行えるかどうかを見ます。
全ての色の区別がつきにくいというわけではないので、検査によってお子様自身がどの色が区別がつきにくいかを把握します。
現在、色覚異常に対しての治療法はなく、補助的な眼鏡の装用で対処することとなります。
気になる場合は早めに検査を受け、上手く付き合っていけるようにしましょう。