ドライアイとは
ドライアイとは、目の表面を守ってくれている涙が少なくなることで乾きやすくなり、ひどくなると表面が傷ついてしまう疾患です。日本のドライアイの患者数はおよそ2,200万人以上いるとされており、約半数は50代以上で占められています。しかし、近年ではパソコンやスマートフォンの普及により長時間使用することで、若年層の方も発症することが多くなってきました。
ドライアイの原因は、加齢や瞬きの減少、コンタクトレンズ装用、ストレス、喫煙など様々です。
涙の役割
- 乾燥を防ぎ潤いを保つ
- 角膜の表面を滑らかに保つ
- バイ菌から目を守る
- 花粉やゴミなどの異物が入ったら洗い流す
- 酸素や栄養の供給
涙は99%の水分と1%の油分から成っています
ドライアイのタイプ
- 水分が足りないタイプ
- 油分が足りないタイプ
今や、ドライアイ全体の80%以上を占めています。
点眼だけでは改善しにくく、背景にあるマイボーム線機能不全に対するケアや治療が必要となってきています。
ドライアイの症状
涙の役割は豊富なので、ドライアイになると以下のような様々な症状が出てきます。
- 乾く
- かすむ
- ゴロゴロする・しょぼしょぼする・不快感
- 疲れやすい、重い感じ
- 光を眩しく感じる
- 痛い・充血
- めやに
- かゆみ
- 瞼が痙攣してピクピク動く
- 仕事や勉強への集中力の低下
ドライアイは軽視している方も多いですが、一時的な症状ではなく、放置していると慢性化する恐れもあります。少しでも違和感を感じたら当院にご相談ください。
ドライアイのチェック
ドライアイをチェックするためには以下の項目を確認してください。1つでも該当する場合は相談を!
- 目が疲れやすい
- 目が乾く
- かすむことが増えた
- 目にゴロゴロしたり、不快感がある
- 目が痛む
- 充血しやすい
- 目(まぶた)が重い、熱い感じがする
- 涙が不意に出る、涙目になりやすい
- 時々かゆみがある
- 光をまぶしく感じる
- 目やに(メヤニ)が出やすい
- ものもらい(めぼ)ができやすい
- 朝、症状がひどく出やすい
- 朝、目が開けにくい
他に、目を10秒間以上開けられない場合もドライアイの可能性があります。
ドライアイの原因
ドライアイの原因は大きく分けて4つで、生活習慣・加齢・疾患・手術によるものがあります。
生活習慣
パソコンやスマートフォンを長時間の使用、ストレス、、コンタクトレンズ、環境(乾燥した場所)、喫煙(副流煙も含む)などが挙げられます。
加齢
年齢を重ねるにつれて涙の分泌機能や保持機能が衰え、乾きやすくなることが原因です。
疾患
シェーグレン症候群やお薬の副作用があります。
手術
レーシック手術、白内障など眼内手術後(使用する消毒液や光障害などの侵襲)
ドライアイの検査
生体染色顕微鏡検査
フルオレセイン液を使用して涙を染色することで、涙の量や涙液の安定性、角膜や結膜の表層の状態を一緒に確認することが可能です。涙液だけでなく、角膜上皮や結膜上皮にダメージがある部位が染まるので、角膜上皮に傷(ダメージ)が多い場合はその分多く染まります。
※当院では、人によってドライアイのタイプが異なるので、タイプ別診断をすることで点眼薬の選択(カスタマイズ治療)や治療の効果判定にも有用な検査機器「idra(アイドラ)」を導入しています。
- まばたき(瞬目)がしっかりできているか
- 涙の質(水分と油分のバランス)について
- 涙の量について
- 涙に必要な油の分泌をするマイボーム腺周囲の状態について
上記の内容が1台で全て測定可能です。
最近はドライアイの原因の80%以上は油分の不足とされており、上記項目を調べることでより正確な判断ができます。眼の疲れやゴロゴロ感、違和感などありましたらお気軽に当院までご相談ください。
涙液層破壊時間
(BUT:BreakUp Time)検査
フルオレセイン液を点眼後に2~3回まばたきして頂き、その後に真っすぐ正面を向いてどれくらいで眼が乾燥し始めるかを検査します。
ドライアイの場合、涙液膜の一部が破れて、5秒以内にドライスポット(乾燥した部分)が出現します。正常値は10秒以上になります。
シルマー試験
シルマー検査では、目盛りのついた専用の試験紙を下瞼の端に5分間挿入し、試験紙に流れ出た涙の長さを測ります。5mm以下の場合はドライアイの可能性があります。
ドライアイの治療
ドライアイは様々なタイプがあり、患者様それぞれに応じた治療をおこなう必要があります。
当院では一般的な点眼治療以外にも、涙点プラグによる治療を実施しており、マイボーム線機能不全の治療を必要とする場合にIPL治療も併用します。ドライアイのタイプを把握した上で適切な治療をご提案いたします。
点眼治療
症状が軽い場合は、潤いを持たせる点眼液で緩和させることができます。人工涙液、ヒアルロン酸製剤、ムチンや水分の分泌を促進する点眼液(ジクアホソルナトリウム)、ムチンの産生や発現を促進する点眼液(レパミピド)が用いられます。 重症のドライアイでは、ステロイド点眼液を併用する場合があります。
涙点プラグ
点眼薬での治療で効果が見込めない場合や、涙の量が極端に少ない方には涙点プラグによる治療が有効です。
シリコン製の透明なプラグを使用して、涙の排出を妨げることで涙量を調整します。
IPL治療(新しいドライアイ治療)
脂を生成するマイボーム腺の機能が低下することで起こるドライアイには、IPL治療が有効です。
当院では、※ステラM22(ルミナス社)を使用し、マイボーム線機能不全に対応した波長や出力設定をされた特殊な光を照射します。
IPLによる期待できる効果
- まばたき(瞬目)がしっかりできているか
- 涙の質(水分と油分のバランス)について
- 涙の量について
- 涙に必要な油の分泌をするマイボーム腺周囲の状態について
IPL(ドライアイ・めぼ・ものもらい)治療の料金
メニュー | 費用(税込) |
---|---|
IPL | 1回 6,500円 |
4回 | 4回 22,000円 |
オプション フォトフェイシャル |
1回 +8250円 4回 +33,000円 |
☆眼精疲労HIFU | 1回 19,800円 4回 76,000円 |
目元ハイフを受けた方から、目が開けやすくなった視野が明るく見えるとの嬉しいご意見も多くいただけるようになったので眼輪筋にもアプローチできる目元ハイフでもあるので、新しいメニューとして、追加をしました。
マイボーム腺機能不全(MGD)
マイボーム腺とは
涙は眼を守るバリアの機能を担っており、乾燥や汚れ・ゴミなどから守り、角膜へ栄養素や酸素を運ぶ働きをします。涙の大部分は水分から構成され、蒸発しないように脂が含まれていますが、脂を生成するのがマイボーム腺と呼ばれ、この分泌機能が低下したり炎症が起こることをマイボーム腺機能不全といいます。
ドライアイの治療として、マイボーム腺機能不全に対するケアや治療の重要性や効果などが明らかに成ってきたため、2023年2月にマイボーム腺機能不全(MGD)の診断ガイドラインが作成されました。
マイボーム腺機能不全の症状
マイボーム腺機能不全の主な症状として、ドライアイと同様の症状が挙げられ、眼のゴロゴロ感などの異物感・不快感や充血などの炎症症状や乾きなどがあります。
ドライアイの80%はこれが原因とされており、点眼治療だけではなかなか改善しないことが多いです。
そして、マイボーム線関連の疾患として
① 眼瞼炎
② ものもらい(めぼ)
③ ドライアイ
が挙げられます
①眼瞼炎
脂の分泌機能が低下すると、まつ毛の生え際より内側部分の粘膜で脂が固まるようになります。これは加齢の影響が大きく60代以上では62%に起こっていると言われていますが、近年では女性に特有な粘膜アイライナーやアイシャドウのラメや粉など、そして睫毛エクステなどで洗浄不十分からの不衛生な状態が続くことが原因であることも知られています。
まぶたの周囲の赤み・腫れ・熱感(灼熱感)、充血、睫毛の脱落などがあります。
②ものもらい(めぼ)・霰粒腫/麦粒腫
マイボーム腺のつまった場所で細菌が感染することで、化膿したり炎症が起こってしこりができます。
赤くなったり、腫れたり、痛みも伴うことがあります。
③ドライアイ
マイボーム腺からの油分の不足により、涙が蒸発しやすくなり乾燥が進行します。
マイボーム腺機能不全(MGD)に
なりやすい人
- 60歳以上の高齢の方
- 男性
- 脂性肌(テカリやすい)
- 揚げ物など油物が好き
- 魚より肉が好き
- 喫煙
- コーヒーを1日3杯以上飲む
- 肥満(メタボリックシンドローム)や脂質異常症のお薬を服用している方
- コンタクトレンズを普段から装用している方
マイボーム腺関連の
最先端治療
ドライアイの診断
ドライアイの診断は自覚症状だけでは正確な判断はできず、涙の量、角結膜上皮の傷の有無、涙液層破壊時間(BUT)での計測などで調べられます。
また、当院では最新の検査機であるidra(アイドラ)を導入しており、涙量や質、涙液層破壊時間、マイボーム腺の状態などの確認可能です。点眼治療開始して3週間以上経っても効果を感じられない方はご相談ください。
新しいマイボーム腺機能不全の治療
当院ではドライアイの最新治療機器であるステラM22を導入しており、IPLという特殊光を照射することでマイボーム腺の機能活性化を促しながら炎症を抑える効果、最終的にはドライアイの改善効果を期待できます。点眼治療や涙点プラグ、マイボーム線ケア(眼瞼清拭、温罨法)で効果が見込めない場合は、ステラM22を使用しての治療をお勧めしております。従来のマイボーム腺鑷子によるマイボーム腺の圧出を継続しながら、点眼の調整もしつつ行っていきます。
また、近年では、ものもらい(めぼ)・霰粒腫/麦粒腫にも有効と報告されており、当院でも対象疾患としてIPL治療を行っております。
マイボーム腺ケアについて
温罨法
(おんあんぽう Warm Compress)
温罨法は眼の周辺をじんわりと温めてマイボーム腺のつまりを改善する方法で、38度前後で5分間を1日2回行うことが効果的です。(脂を溶かすには36度以上の温度が必要)まぶたの血流の改善をするとともに固まった脂を溶かす目的で行われます。
国際標準治療法として認められており、市販でもグッズを購入できて簡単にお試し可能です。
ホットタオルも有効ですが、まぶたが濡れると気化熱による温度低下を起こすので、ビニル袋に入れるなど直接濡れないようにして温めましょう。
注)花粉症などアレルギーなどで炎症による充血がある場合は悪化させる要因になるので控えましょう
眼瞼清拭
(リッドハイジーン、Lid Hygiene)
眼瞼清拭は、睫毛の根元周辺から粘膜にかけて、専用の洗浄剤(アイシャンプー)にて指の腹でマッサージするようにやさしく洗浄することで、汚れたマイボーム腺周囲を清潔に、固まった古い脂や角質物のつまりを除去しながら、細菌量を減らす目的で行います。
温罨法と並行して行うことで、効果はより大きいものになります。
当院では、目元専用のアイシャンプーのお取り扱いをしていますので、お気軽に相談ください。
ドライアイやマイボーム腺機能不全(MGD)の予防
毎日の食事
マイボーム腺から分泌される脂は食事で摂取する脂と深く関係していると考えられており、食生活にも配慮することが大切です。
現在、食生活の欧米化が進むことで肉類や加工食品の摂取量が相対的に増えていますが、
以下を参考に改善を心がけてみましょう。
①涙の水分と油分をアップ
●オメガ3脂肪酸:サバ(鯖)やアマニ油・エゴマ油
②涙の油分をアップ
●ビタミンD:マイワシや鮭
③涙の水分をアップ
●ラクトフェリン:ラクトフェリンヨーグルト
セルフケア
- 温罨法
- 眼瞼清拭(アイシャンプー)
- エアコンなどの風が直接、顔(目)に当たらないように工夫や加湿器の設置
- 瞬きの意識(上下のまぶたがしっかりと閉じることでマイボーム腺からの脂が分泌されます)
クリニックでおこなう治療
- マイボーム腺の圧出
- アジマイシンなどを使用した薬物療法
- IPLなど医療機器を使用した治療