近視とは
外から入った光は角膜から水晶体、硝子体を通り、網膜へと届きます。遠方のものを見た時に網膜より前の位置でピントがある状態が「近視」です。
近視は大きく「軸性近視」と「屈折性近視」の2種類に大別されます。以下では、正常に見えている状態の「正視」と比較して説明致します。
正視
一般的に「眼が良い」と言われる状態で、外からの光に網膜上でピントを合わせられています。
軸性近視
近視のほとんどは軸性近視です。角膜頂点から網膜までの距離(眼軸)が長く、網膜より前方の位置でピントが合っている状態です。
屈折性近視
眼軸の長さは正常にあるにも関わらず、水晶体や角膜の屈折力が強力なために、網膜より前方の位置でピントが合っている状態です。
近視の原因
近視は遺伝的、環境要素など原因は様々ですが、最近では子どもの近視が急増しており世界的な問題となっています。近視は、軽度であっても緑内障や網膜剥離などの近視以外の疾患に将来かかるリスクを上昇させることが調査で明らかとなっています。人生100年と言われる長寿の時代において健康であること、見える健康を保つためには子ども時代に近視を進行させないことが重要であると考えられるようになっています。
近視矯正法・
近視の進行抑制治療
コンタクトレンズ(治療)
コンタクトレンズは角膜に直接つけるため、眼鏡より視野が広くなります。スポーツをされる方や、強度の近視、左右で眼の視力に大きな偏りがある方はコンタクトをお勧めします。
ただし、取り扱いは眼鏡より慎重に行う必要があるため、基本的には中学生以上の患者様を対象としております。
オルソケラトロジー(抑制・予防治療)
オルソケラトロジーは手術不要の近視矯正法で、就寝中に特殊なコンタクトとレンズを装用することで、角膜の形状を変化させ、起きている間の近視や乱視を矯正できます。
効果は、1~2か月継続することで裸眼でも日中過ごせるようになり、近視抑制効果も期待できます。
低濃度アトロピン点眼(マイオピン)
Myopine(マイオピン)は日本で既に商標登録されている点眼治療薬で、副作用がほとんどなく近視を抑える効果を数多くの研究で示されています。近視の進行を平均50-60%抑えることができるとされており、1日1回、就寝前に点眼という簡単な日常ケアなので継続も難しくありません。
※当院でもお取り扱いがございますので気軽に相談ください。
レッドライト治療法
近年、注目されているレッドライト治療法は、長波長の650nmの赤色光が過剰な眼軸延長を抑制する効果があると発見されたことから成り立ちました。きちんと実施できることで90%近い予防効果が明らかにされています。可視光である650nmの赤色光を1回3分、1日2回覗き込むとい非侵襲的で簡易的な治療法で、他の治療法との併用効果や改善効果の研究が進んでいるところです。
※当院でも導入検討中です。
生活習慣
子ども時代における近視の進行は、現代において圧倒的に減った「野外で遊ぶ時間」に影響されています。日光を浴びることが少ないことで進行しやすいことは明らかになっています。すでに、海外では、学校の休憩時間に外で遊ぶことを義務化したり、バッジをつけて日照量の測定などして把握するようにしたりする国が数カ国あります。(1日合計2時間は外にいることが有効とされています)
直射日光でないといけないのではなく、建物の影や木陰でも大丈夫ですので夏の熱中症や紫外線からの影響を配慮しながら過ごすことをお勧めします。(具体的には照度計で1000~3000ルクス以上)
ただし、その環境下で過ごす際のスマホなどの使用は避けてください。
そのほか、勉強や読書の際に近くを見る作業の際は、少なくとも30cm以上離れること、作業中は30分に1回は遠くを見たりして連続作業を避けるように注意しましょう。
遠視とは
遠視とは外からの光を網膜の後方でピントを調整する状態で、原因としては水晶体や角膜の屈折力が弱い、眼軸の長さが短いことが挙げられます。凸レンズを装用することで矯正が可能です。
大人の遠視
大人の遠視は程度にもよりますが、眼の乾き、眼精疲労、目まい、肩こり、頭痛、吐き気などの症状を伴うことがあります。
子どもの遠視
子どもの遠視は斜視や弱視の可能性があり、以下がよく見られます。
- 眼が内側もしくは外側に向いている
- 顔を傾けてものを見る
- 親御様どちらか一方が斜視もしくは弱視である など
遠視の原因
遠視の原因のほとんどは特別な原因はないですが、遺伝が関係している場合もあります。
遠視の治療法
遠視では、まず視力検査や屈折検査で眼の状態を確認し、それぞれの状態に対して最適な眼鏡やコンタクトを装用して視力を矯正します。
乱視とは
乱視は眼の形がいびつであるために、ものを見るときに焦点が1ヶ所に集中せず、見えにくくなる屈折異常です。主な症状としては、ものが二重に見える、にじむ、まぶしく感じる、眼精疲労の症状のほか、頭痛などを伴うこともあります。
乱視の原因
乱視は正乱視と不正乱視の2つに大別され、それぞれ原因が異なります。
正乱視
正乱視は生活習慣や遺伝など原因は様々ですが、単一ではなく複数の要因が絡み合って起こっているとされています。
先天性の原因
遺伝、胎児の時に起こった異常、出産時の処置などが原因と考えられています。
後天性の原因
近視の初期に、遠方のものを無理に見ようとして目を細めたりすることで、眼の周りの筋肉が角膜を圧迫して変形することなどが原因と考えられています。
乱視の治療方法
正乱視と不正乱視で治療法も異なります。
正乱視の場合は、円柱レンズを使用した眼鏡やハードコンタクトレンズによって矯正できます。
一方、不正乱視の場合は屈折が不規則に起こっていることから円柱レンズでの矯正は不可能です。角膜不正乱視に限ってはハードコンタクトレンズでの矯正が可能ですが、水晶体不正乱視はハードコンタクトレンズでは矯正が困難なことがあり、屈折矯正手術を検討するケースがあります。
当院では手術を行っておりませんので、手術を必要とする場合は関連のクリニック、病院をご紹介させて頂きます。